人を驚かせることが好きな桜は、小学校時代から友達を驚かせては、周囲に呆れられるというのが日常茶飯事だった。 驚かせるというのは、もちろん相手の度肝を抜くこともだが、相手が喜ぶドッキリも大好きで、成功させるためなら手段を選ばない。

ジャムパンはいちごジャムやチェリージャムが入ったものが特に好き。 コーヒーショップの期間限定品の桜フラペは、毎年必ず三回は飲むらしい。

リコーダーを吹くのが苦手。 小学校の時に学んだソプラノリコーダーから、中学校になってアルトリコーダーに変わり、指使いを覚え直すのがまた大変らしい。

4月に中学生になったばかりの桜に、両親から思わぬ報せ。 父方の祖父が病で倒れて、寝たきりになってしまったというのだ。 家業を継ぐため、関東から故郷の香川県に帰ることを決めた父。 それはつまり、桜も夏城から引っ越しせねばならないということだった。 「私がいなくても星華には新しい友達いるし、全然大丈夫でしょー！」 寂しさを押し隠すため、親友の星華にそう告げてしまった桜。 当然、星華は怒り、「さっさとどっかいけば！」と彼女に言われてしまう。

星華とケンカしたまま、木の葉のケーキを食べ納めに来た桜は、緑依風にも転校すること、そして星華とケンカしたことを話す。 自分の発言に後悔し、涙ぐむ桜に、緑依風は一緒にお菓子を作ろうと提案する。 桜と緑依風は仲が良かった方だが、桜は星華と二人で行動することが多かったため、付き合いは長けれど、お互いを深く知らなかった。

桜は緑依風に、中学生になって星華とクラスが別れてしまったことや、星華に新しい友達ができ、一番の親友だった彼女が、緑依風や亜梨明達と仲が深まっていくことに、ヤキモチを妬いていたことを打ち明ける。 会話を続けるうちに、二人は「もっと遊べばよかった」と悔やみながらも、近くにいるうちに遊ぼうと、これまで以上に仲良くなる。 緑依風と二人で作ったレモンタルトを箱詰めし、星華のマンションを訪れる桜。

桜は「さっきはごめんね」と星華に謝り、星華も突き放すような言葉を発してしまったことを謝罪する。 仲直りした二人は、レモンタルトを食べながら、桜が引っ越す日までめいっぱい遊ぶこと、離れてもずっと友達でいることを決めたのだった。