加藤孝文(かとうたかふみ)
俺は、姉貴のことが大好きだった。
二つの顔を持つ少年
俺は、姉貴のことが大好きだった。
緑依風達と同じ二年三組の生徒で、夏城小学校出身。緑依風と星華とは小1の頃同じクラスだった。 普段は真面目で派手さは無くとも、気さくな性格で、その場の雰囲気に合わせて友達とふざけ合ったりもできる、空気の読める少年。 しかし、何故か奏音にだけは冷たく素っ気ない態度で、視線すら合わせない。 家族は両親の他に、六歳離れた姉がいたが…?
パーソナルデータ
小学校時代は風麻と同じクラスになったことがなかったが、中学で一緒に。 爽太も交えて、クラスの他の男子複数と共におしゃべりしたり、遊ぶこともあった。
ポジションはスモールフォワード。 小学生時代からバスケのチームに入っていた。
現在は両親と三人暮らし。 姉の綾は、加藤が小学一年生の頃に転落事故で亡くなっている。 少し気が短いが、明るく面倒見の良い少女で、年の離れた弟をとても可愛がっていた。
外見的特徴
内面的特徴
映画は洋画が好きで、最近は吹替より字幕派。 数年前から、父の趣味である将棋を教えられ、休日は親子で指し合うことも。 ちなみに父の兄(叔父)は将棋のプロ棋士である。
焼き鳥は塩派。
かろうじてピザは食べられるが、ファストフード店でよく使われるチェダーチーズなどの、匂いが強いものが苦手。 キャラメルは好きだったがとある理由により、今は食べられない。
英語に関しては、もっと日常会話に役立つものを学びたいと思う程、勉強意欲が高い。
特にこの職業に就きたいとまでは決まっていないが、欧米諸国の文化や暮らしに憧れている。
ショートエピソード
クラスメイトに彼の人物像を聞けば、きっとこう言うだろう。『いい人』『明るく親しみやすい』『やんちゃではないけど、固すぎず、友達と一緒にふざけ合うことも出来る』 加藤孝文は、どこにでもいる普通の中学生男子だった。 しかし、奏音を相手にする時だけ、彼は他の人間と態度を一変させる。 視線を合わさない。話しかけられても無視、ほんの少し触れただけで不快感を露わにする。 これまでも、なんとなく嫌われているような気がしていた奏音だが、ある昼下がり、本屋で彼が通る道を塞いでしまったことにより、それは確実となる。
彼の態度に堪忍袋の緒が切れた奏音は、亜梨明や遊びに来ていた爽太にその事を伝えるが、彼らもやはり、人当たりの良い加藤の顔しか知らず、意外という反応をした。 翌日。昼休みに廊下で加藤と遭遇した奏音は、「嫌っているならその理由を知りたい」と、何故自分にだけ冷たい態度を取るのか加藤に問い詰める。 しかし、彼は奏音が悪いわけではなく、自分が一方的に嫌っているだけと言い、逃げようとした。 それを捕まえるため、奏音は階段を下り始めた加藤に腕を伸ばす。
――と同時に、上の階からふざけながら階段を駆け下りてきた一年生と接触し、奏音はバランスを崩してしまう。 踏ん張ろうとしていた軸足が浮かび、落ちる瞬間、加藤は奏音に向かって何故か「姉ちゃん」と呼び、奏音の落下を防ごうとしたが、間に合わず、彼女は踊り場まで落ちてしまった。 足を負傷し、動けなくなってしまった奏音。 流石の加藤も、いくら嫌いな人間といえど、困っているこの状況を放置せず、奏音を背負い、保健室へと運ぶ。
そこから更に一日が過ぎ、奏音から前日に助けてもらったお礼と、嫌な記憶を思い出させたと謝罪を受ける。 加藤は、奏音が己の過去を知ったのだと悟ると、何故自分が彼女を嫌うのか説明することにした。 実は、加藤には六歳年の離れた姉がいたのだが、エスカレーターの転落事故で亡くなってしまい、彼は今もその出来事がトラウマとなっていた。 加藤の姉、綾は顔こそ似ていないが、性格や立ち振る舞いが奏音ととてもよく似ていて、その姿を見ていることが辛いのだ。
加藤は、全てを語った後、事故の日と姉のことを思い出したくない。だからもう関わらないで欲しいと奏音に懇願する。 それを聞いた奏音は、「私はあんたのお姉さんじゃないし、一緒にされても迷惑」「一番腹が立ったのは、お姉さんを『大好き』って言っておきながら、お姉さんの存在ごと忘れようとしてること」だと告げ、もう関わらないことを約束して去っていった。
七年前の八月。加藤は両親と姉の綾と共に父の実家に帰省し、親戚一同で大型ショッピングセンターに買い物に来ていた。 加藤にとって、綾は怒ると怖いけど、年の離れた弟の自分を可愛がってくれる大好きな姉で、いつも姉にべったりだった。 そんな彼は、エスカレーターが苦手だった。 乗るタイミングが小学一年生になっても上手く掴めず、以前乗ろうとして転んだり、サンダルを隙間に挟みかけて怖い思いをしたからだ。
綾は、この日も一人で乗れない弟の補助をし、乗り換えた後、空腹を訴える弟のために、鞄に入れていたキャラメルを与え、包み紙をしまおうとした。 しかしその直後に、後列の女性が荷物をうっかり落としてしまい、それが綾に直撃する。 綾は荷物と共に一番下まで落下し、固い床に投げ出され、すぐに救急搬送されたのだが、頭の打ち所が悪く、帰らぬ人となってしまう。
加藤は、安置された姉の遺体の前で、あの時自分が一人で乗れていれば、二列に並ばず、荷物にも当たらなかったかもしれない。 せめて、お腹が空いたと言わなければ、手すりに掴まったままで、落下せずにすんだかもしれない。 姉が死んだのは、自分のせいだと責めるようになり、それ以降綾に関するものを目にしたり、聞いたりすれば、パニックを起こしてしまうようになってしまった。 そこから数年経った今も、彼はトラウマを抱え続け、思い出すと体に支障をきたすほど、深く傷付いた状態だった。
だが、奏音にカミングアウトしたその日の夕方、夢の中で姉の声を聞き、やっぱり姉のことを忘れたくないと思うようになる。 そして、今まで避け続けていた奏音の元へ赴き、これまでの失礼な態度の謝罪をし、トラウマを乗り越えるために協力して欲しいと申し出る。
奏音と和解した加藤は、今までずっと避け続けていた過去と向き合うため、彼女の協力の元、初めて姉の墓参りへと向かう。 彼の心の傷は深く、すぐに克服することは難しいだろう。 しかし、それでも加藤は大好きだった姉を。笑って過ごした楽しき日々を思い出し、懐かしめるようになるため、あの日からようやく一歩踏み出すことができた。 「――今はまだ、こんなんだけど……俺、強くなるから……」 愛しい弟の決意は、きっと天国の綾にも届いているはずだ。
キャラクターの能力値などを表すのに使える多角形のチャートが作成できます。
レーダーチャート欄についている鉛筆アイコンをクリックすると設定エリアが現れますので、そこで項目名とポイントを入力してください。
ポイントは1000まで設定可能です。
設定エリアの右下にあるプラス、マイナスボタンで項目数を増減できます。設定できる項目数は3〜9項目です。
チャートのとる最大値は、ポイントのとる範囲によって10、100、1000の三段階に自動で変化します。
と設定されます。
『更新』ボタンをクリックすると、入力したものが反映されます。
項目名表示も含めて決められたサイズにチャートを出力する仕様なので、項目名が長すぎるとチャート自体が小さくなってしまいます。
長い項目名を使いたい場合は、省略表現をするなどしてご利用ください。
ここには、キャラクターのちょっとしたエピソードを記入してください。
のように自由にタイトルをつけて、そのエピソードを書いてみてください。
こんなときこのキャラはどうするだろう?と考えていくと、キャラクターの思いがけない一面や魅力を発見できると思います。
どんどん書き込んで、キャラクターを成長させていってください。
俺は、姉貴のことが大好きだった。
二つの顔を持つ少年
加藤孝文
(かとうたかふみ)